綿に近い質感の生地にエステルキャンバスがあります。
素材としてはポリエステルですが、綿の風合いが感じられます。
綿のような風合いで、しっかりとした感触がありますが、
汚れにくいのも特徴です。
付着した汚れは、拭き取りやすく、清潔に維持管理しやすいです。
暖簾に使用すれば、人間の皮脂に対しても耐久性能を発揮します。
皮脂は油汚れと同じですから、できるだけ吸収させずに、
素材として弾き返せると理想的です。
ポリエステル生地は、人間の皮脂が付着しにくく
表面的に光沢感があります。
表面的な光沢感が、皮脂の汚れを
付着しにくくしています。
エステルキャンバスは、綿の風合いを
持たせてあるポリエステルなので、見た目だけでは
綿なのかポリエステルなのか、判別しにくいのが特徴です。
暖簾は人が手で触ったり、顔に直接触れたりする機会が多いので、
普段から清潔に維持管理できたほうが衛生的です。
こまめに洗濯できる環境ならば良いのですが、もともと暖簾を
洗濯する機会は、年末の大掃除のときなどに限られる場合が多いです。
暖簾は空気の通り道にもなりますので、換気のとき以外でも
風が埃を運んできやすいです。
綿風ポリエステルならば、風に運ばれてくる埃が付着しにくくなります。
ポリエステルならではの光沢感が弱めてあると言っても良いので、
文字の発色が柔らかくなります。
温かみのある文字や、穏やかな空間を演出したいときに
最適な素材です。
エステルキャンバスはトートバッグにも利用されることが多く、
普段から親しまれている素材なので、違和感無く調和します。
【東日本編】地域で異なる生地の特徴・特色
数多くの繊維産地がある東日本地域の中でも、最北に位置しているのが米沢織の産地として有名な米沢市です。
自然の草木で染めた糸を使用して織り上げられた美しい織物は見る者の心を魅了し、袖を通せばその軽やかさに驚くと言われています。その発祥は古く、400年以上前にさかのぼります。
関ケ原の合戦後に会津120万石から米沢30万石に移封された上杉藩の重臣直江兼続が、藩の収益拡大と領内の産業発展を図るために元々特産品であった麻織物の原料となる青苧や、絹織物の原料を生み出す蚕の餌である桑などの、繊維に関わる植物を藩で買い上げ奨励しました。これを製品化して全国に販売するようになったのが発端と言われています。
その後、織物産業が発展した江戸時代には、当時の先進地であった新潟の小千谷から縮の技術を導入して武家の女性に内職として機織りを習得させることで「米沢織」というブランドを強化させ、藩の財政立て直しを目指しました。当初は麻織物でしたが、養蚕が盛んになっていくにつれてより高級な絹織物の生産が中心となるなど発展を続けて現代に至っているのです。
現在でも男用の袴用途としては90%以上の全国シェアを誇り、婦人用スーツやフォーマルドレスなどにも用いられるなど、和装、洋装を問わず幅広く愛用されている織物です。